大都会の小さな家

大都会の小さな中古マンションに住むおひとりさま女の日常をつづったブログです。 注意事項: 比較的、自分の好き嫌いをはっきり述べています。 それは、単なるさくらねこの好き嫌いであって、さくらねこが嫌いな場合であっても、そのこと・ものを否定しているのでも、そのこと・ものを好きな方を否定しているのでもないことを、あらかじめ申し上げます。1記事が長めなので閲覧はPC推奨です。 リンクはご自由に、相互リンクも募集中です!

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少し前に、今さらながら『絶歌』を読みました。

読んだ感想は「彼は、少なくともうそつき、偽善者ではない、彼に能う限り正直に書いている」ということ、そしてこの本は、私の人生に大きな影響を与えた本のひとつになるだろう、ということです。





「少なくともうそつきや偽善者ではない」という感想は、彼がかるがるしく謝罪や反省の言葉を述べていないということです。
彼の立場なら「遺族や世間が望むような謝罪と反省の言葉をつらねた本」を出版したほうが、生きやすいはずです。

彼は、この本の中で、一貫して「自分の苦しみ」だけを書いています。
それが「遺族のほうがもっと苦しいのに何を言ってるんだ!」といわれてしまうことになっているのですが、私はそうは思わなかったです。

「僕は苦しい、だから助けて」でもない、「僕は苦しい、だから容赦して」でもない、「僕は苦しい、反省してます」でもない、彼が自分の苦しみを書いているのは、それがただひとつ自分が確かに言えることだからです。(反省しているかどうかは、他人が判断することで、自分が判断することではないことを彼は知っています。)
なぜそれを書くかというと、最後に書いている「どうして人を殺してはいけないのか」に対しての答えのためだと、思うのです。
「どうしていけないのかは、わかりません。でも絶対に、絶対にしないでください。もしやったら、あなたが想像しているよりもずっと、あなた自身が苦しむことになる」

ではこの言葉を、誰に対して書いているのかというと、それは、私の考えでは、彼を崇拝して「人を殺してみたい」などという危うい青少年たちに対してではないか、と思うのです。

彼の後で、青少年が常識を外れた犯罪を行ったとき、いつも彼が引き合いに出されてしまう。
また犯罪を行った青少年自体が「酒鬼薔薇聖斗を尊敬している」などと言ったりする、それを彼はどのように聞いていたか、それは非常に傷つくことだったと思うし、何より自分みたいな存在が生まれることを阻止したいと、強く思ったのではないかと思います。

彼がこの本を書いた理由は、今の日本において、彼が「どうして人を殺してはいけないのか」に対しての答えを言える唯一の人間だから、そしてそれを言うことで彼のような犯罪者を阻止できる(また被害者が生まれることも阻止できる)からだと、思うのです。

自分の人生が、人から受け入れられないモンスターとして生まれ、人を害するためだけに存在していて、人を殺めたことでもう二度と人間として戻れないとしたら、そのような状態で何も良い意味を持たずに生き続けることは地獄にも等しい苦しみではなかろうか。

自分の人生が、反面教師的な意味でいいから何か世界に肯定的な意味をもたらすものであってほしい、そういう願いを、この本には感じたのです。
(だれか一人でも、彼に「あなたの本を読んで人を殺すのを止めました」と言ってあげる人が現れてほしい、そうすれば彼の苦しみも少しだけ和らぐのではないか、そんな気がします。)

あとがきを読んで、彼が「この本を無断で出版したこと」に対して遺族に謝罪しています。
彼が、この本が遺族をもう一度傷つけるものだということを知っていた、それでもこの本を出したかったのだと、思います。
そこまでしてこの本を出したかった意味は、特に自分を崇拝する青少年を止めたい、という強い気持ちからではないかなと、私は思います。


 *


もうひとつの感想、「この本は、私の人生に大きな影響を与えた本のひとつになるだろう」というのは、「人に受け入られるのが怖い」私は、彼の気持ちが、胸に迫ってきたからです。

私は、父母から、「気ちがい」「人から嫌われる人間」「生意気」等、ありとあらゆる否定語を言われてきました。
私は幼稚園に行っていません。
その理由は「あんたは人を傷つける人間だから、幼稚園にいかせたらまずいから」だそうです。
(それってひどくないですか?
もしかりに私が酷い人間だとしたら、悪いことをするたびに「それをしちゃだめよ」と言えばいい、そんなに悪ければ殴ってでも正せばいいだけの話です。「お前は悪い人間だから人様に危害を加えないように隔離する」と親から言われる、幼稚園の年代の子供って、かわいそうすぎませんか?少なくとも私は、人を殴ったり生き物を殺したりするような問題児ではなかったです。私そのものを否定することはなかった。)

そういう育てられ方をした私は、今でも、自分が人から受けいれられる人間だとは思っていません。
今ではそういうことが少なくなってきましたが、人から受け入れられそうになるとその相手を傷つけてしまう、ということも何度もありました。

だから「人から受け入れられない存在」と思い続けて生きてきた彼の苦しみは分かりますし、彼が淳君を殺害した理由も、私の「人から受け入れられそうになるとその相手を傷つけてしまう」を100倍か1000倍か1万倍にしたらそうだろうな、と納得できるのです。


彼が、なぜ、「自分が人から受け入れられない存在」と思い込むようになったかは、わかりません。
何か本に書いていない、あるいは彼が思い出せないトラウマがあるのか、それとも先天的なものなのかは、わかりません。
でも「自分が誰からも愛されない人間である」と思ったら、人間はどんな無責任なこともできると、思います。
(逆に言えば、私の父と母は、酒鬼薔薇のような子供を作りたかったんだと、思うことがあります。幼いころの私は、ずっと「私が悪いことをしたら『ほらやっぱり』っていわれるんだ、自分が悪くないことの証明のために我慢しよう」と思っていました。私が犯罪を犯したり、自殺をしなかったのはそう考えたためです。そう、私は少なくともそれがわかるぐらいには頭が良かった、それが私と少年Aを分けた理由だと思います。)

映画『ロボコップ2』だったか、麻薬中毒の犯罪者を新型のロボコップにした話がありました。
その情婦が、機械の手をとって「こんな姿になっても私はあなたが好きよ」と言ったとたん、男は女の首をひねりつぶして殺してしまう・・・というシーンがありました。

たぶん、少年Aが土師淳君を殺してしまった気持ちと、似ているのではないかと、思うのです。

自分でも受け入れがたいような醜悪な自分を、それでも受け入れてくれることへの恐怖。

そして彼は、人を殺すことによって、さらに「誰からも、自分自身からさえも、受け入れられない存在」になってしまった。
本の後半で、先輩の家に招かれて彼が殺めた彩花ちゃんと同じ年頃の女の子に無邪気に話しかけられたときに、記憶がフラッシュバックして気分が悪くなって逃げ出してしまい、先輩と関係が悪くなってしまったことが書かれています。

彼は、これから先、死ぬまで、彼を信頼するまなざしをみたときに、彼を信じて見上げた彩花ちゃんの瞳を見、彼を信頼する言葉をきいたときに、彼を信じて鼻歌をうたいながらついてくる淳くんの鼻歌を聞くのだ、と思うとむしろ矯正教育などうけて中途半端に良心を持たせられるのではなく、死刑になったほうが彼にとって楽だったんじゃないかとさえ思いました。
(この本を読んで一番怖かったのは、
「一緒に遊んでもらえるのだと思って、楽しそうに、嬉しそうに、鼻歌を口ずさみながらついてきた淳君」
という一文でした。
淳君の首で○○○○をしたという部分は、今までの報道で聞いたことを、他人が「元少年A」として創作したかもしれないと言えるけれど、この一文は、「ああ、この作者が、まぎれもなく淳君を殺害した犯人なんだ、淳君が鼻歌を歌っていたことなど犯人しかしらないはずだ」と強く感じました。)


読み終わって、(きっと土師淳君のお父さんの土師守さんは激怒すると思いますが)元A少年に「あなたはもう少し自分を受け入れていい、受け入れられる存在だと思っていい」と言ってあげたくなりました、が、そう言っても、「人を殺してしまった人間」は、それを受け入れることはできないだろう、とも思いました。

そして、私が他人に心を開けない・自分が他人に受け入れられない存在だと思い込んでいるのは、親のせいであって、彼のように先天的なものではない、また彼のように人殺しなどはしていないので少なくとも自分からより深みには嵌まっていないので、彼よりはずっとおかれている状況は良いのだ、と思えたのです。

この本を読んで、そう思えてからは、少しだけ人と接するのが楽になりました。
元少年Aが人に心を開き、人から受け入れられることは非常に困難だけれど、それに比べれば私にはまだ可能性があるように思える、そう、思えたからです。


そして元少年Aの心にも、いつか悟り、あるいは神の許し、なんでもいい、何か大きなものからの安らぎがもたらされたらよいな、と思います。
彼がこのまま、自分は他人から受け入れられない存在だと思い続けていれば、またそれに耐えかねて罪を犯す、あるいはその矛先が自分に向かって自殺してしまう、そういった可能性を考えてしまいます。
彼がもし自殺などすれば、「自殺だなんてやっぱり反省してないんだ」と罵られてしまうでしょう。
それを考えると、いくら犯した罪が重くても、かわいそうな気がします。








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